ただ、国産の山武スギで羽目板、フローリングを作って販売すると言う商売から、消費者をターゲットにした商売に切り替えようとすると、今までの材木屋では考えなれないような、言い方は悪いですが、面倒くさい、普通の材木屋なら絶対に断るだろう、門前払いだろうという話も飛び込んで来ます。
あまりにも難しい仕事は、受けて結局できないと、かえって信用を無くすので丁重にお断りしますが、皆で力を合わせれば何とか出来ると言う話は、極力、お受けするようにしています。
中には取り壊した家の材料が2トントラック2車分あるのだが、それを角は大引き、板はフローリングに使いたい。足らない分は榎戸材木店から買うから、引き取って木取りをして、加工賃などを含めた見積もりをお願いしたいなどという話も来たりします。
その他にもレーザー加工では急ぎの注文で居酒屋のワタミさんから、「旬のカツオ、入荷しました」、「白魚、はいりました!」などと言う、店内に置く看板を大急ぎで作ってくれとか、体力だけでなく、時間との勝負も過酷です。
新社長、長男の方針は、ワクワクする仕事は断らない、嫌々やらされる仕事はやらないと、実にシンプルです。しかも、何の因果か、千葉県で木材利用推進をしている会社の人と仲良くなり、さらに首を突っ込む範囲が広がりました。その人は山の手入れはもちろんのこと、頼まれるとハイキング道に休憩するベンチを設置したり、動物園などで使う飼育小屋を作ったり、千葉県産の木材の有効利用のためには何゛も引き受けるひとです。今、改装中の当社の事務所内にオブジェ的に枝の付いた丸太の柱を立てたいと社長が言ったら、二つ返事で引き受けてくれて、社長、従業員と3人で山に行き、気に入った木があったら切るからと、3本、切り倒して新木場まで運んでくれました。このような人を仲間に付ければ、鬼に金棒です。そのうち、当社敷地内にツリーハウスが出来るかも知れません。どんどん、材木屋らしくなくなっていきます。
来年にはバーベQスペースも出来そうですし、その先には寝泊り出来るロッジの計画も待ち構えています。長男と若手社員もそして社外の新しい知恵を巻き込んで、新木場を木のレジャーランドにする計画は、着々と進んでいます。これも仕事は極力、断らないと言う姿勢が生み出すものなのでしょう。
北米材の輸入販売をやめてから20年以上。また木材が見直される日が来るのだろうか、来なくても会社だけは維持しなくてはと、ノンビリというか、眠ったような状態で過ごしてしまった…跡を継いでくれた長男には申し訳ない気持ちで一杯ですが、それまで父(先代)いろいろと次の木材業を考えて取り組んだ事業が結局うまく行かず、だったら外材の輸入販売から手を引いて、不動産賃貸に徹した方が楽だし経営が安定すると、チャレンジ精神を失ってしまった結果だと思い、大いに反省しています。
その分、いや、それ以上に長男はチャレンジ精神を発揮し、今までとは全く違った材木屋を目指して突き進んでいます。突き進むスピードが早過ぎて怖い気もしますが、これも私が歳を取った証拠なのでしょう。ドキドキ、ワクワクしながらの日々です。