家の内装に木を使いましょうというと、まず「見た目の木目の印象」とか「肌触り」を思い浮かべる消費者(売る側も)が多いと思います。
当社が依然、量産品のフローリング、羽目板を販売していたころ、表面は殆どがウレタン塗装でした。木材には調湿性があるから、室内に木を張ると健康に良いと宣伝している材木業者や建築会社も多く見かけますが、木の表面に塗膜を作ってしまうウレタン塗装では、せっかくの調湿性は大きく失われてしまいます。昔のように天然乾燥で乾かした板を加工し、超仕上げカンナをかけた羽目板はツヤツヤしていた上に調湿作用も失われていなかったのですが、中温・高温で大量に乾燥させた板からフローリングや羽目板を作ろうとすれば。当然、油分も失われて、ウレタン塗装で艶を演出しなくてはならない…
そこで当社では低温乾燥器を入れて木の持つ油分や有効成分を残した内装材を製造販売しようと考えたわけですが、今年の1月から毎月1度開催れている快適な環境創りに役立つ木の成分の話を聞くセミナーでは単に調湿作用により風邪をひきにくくなるなどと言うだけではなく、様々な抗菌作用、健康への良い影響が語られていました。
今でも、ぜんそくの子供の部屋に無垢の板を張ったら、夜中に苦しそうに咳こむことが殆どなくなったとか、アトピーが良くなったとかと言う話は聞いたことがありますが、これはあくまで「ウワサ」のレベルで科学的、医学的な根拠は乏しく、あまり消費者に面と向かって宣伝できるものではありませんでした。
全国の大学や木材の研究施設で、木材の香り成分、見た目が視覚や精神的な好影響が健康に良いとの研究は行われていのに、それを実例をあげて検証し、消費者に訴えられるパンフレットや小冊子がない。だから、「木の良さ」と言われると「住んで良し」とか「木の香り」みたいな漠然とした話しかできない。
また、3月にも、この木の研究セミナーがあるので、出版費用は木材業界を回ってかき集めるから、データ収集や整理、著述をお願いできないか、頼んでみるつもりです。
妻の母親が私の自宅の近くに越して来てから約1年。早晩、車いすになるからと歩道から玄関ポーチまでスロープを付けたのに、今では妻とヒョコヒョコ、近くのスーパーに買い物に行くまでに元気になったのを見るにつけ、本物の木の内装材を売り込むのに、肌触りとか香りだけでは説得力に欠けるなと、つくづく思っています。