前回、洪水による床下、床上浸水で、住宅に使われている木材の耐久性が低下するのではないかとの危惧について書きました。
この夏も暑く、湿度の高い日が続いていますが、時には80%を超えるような湿度は、住宅の耐久性に影響を与えないものなのでしょうか?
高気密・高断熱の家において、外気の湿度は80%なのに、気密性の高い壁の中は湿度25%などと言うことであれば、影響はないと考えて良いと思います。
ですが、もしどこからか湿気の多い外気が入り込む可能性があるとすると、湿度の高い日が続けば、壁の中の湿度も外気の湿度に近づいていくと考えなくてはなりません。雨水の侵入を抑えるのは当然としても、湿気の侵入まで抑えることのできる高気密住宅は可能なのでしょうか?
東西南北の壁の中に湿度計を設置し、日々、時間ごとの外気と壁内の湿度のデータを取ることは難しいこととは思えませんが、そのようなデータは見たことがありません。どなたか、このようなデータを入手できるルートをご存じの方がおられましたら、お教え頂きたいと思います。
逆に、外気の湿度の影響を受けないほど気密性の高い家は、冬場の湿度の低い季節でも影響されず、年間を通じて安定した湿度を保つものと考えられます。
現在、当社の築40年の事務所を改装中ですが、ショックだったのは床を剥がしたところ、建物のコーナー部分4カ所にシロアリの被害が見られたことです。通気性のある床下でも夏場の湿気を吸って、木材がシロアリが快適に住める含水率になれば、当然食われてしまいますし、防腐剤を塗布した土台まで食われているところをみると、薬剤の有効期限は40年間は持たないことになります。
これを考えても、本気で90年、100年持つ長期優良住宅を建てることが、いかに難しいかわかります。そもそも、全国に現存する築100年を超えた木造の建物は、途中で腐った柱の下部を切断して根継ぎをしたり、様々な改修をしながら住み続けて来たのです。
90年、100年はともかく、少なくとも50年、60年は最低でも持たせたいと思うなら、通気工法や高気密などの工法に頼るだけではなく、やはり基本となる材料選びにも注意を払うべきだと思います。
木材業界としては、どんな樹種でも売れれば良い、儲かれば良いと言う姿勢ではなく、適材適所の木材選びのアドバイスをすることが必要だと思います。